言語と世界
生物種としての決定の代わりに、言語によって多様な世界のあり方を持つというのが、ヒトという生き物の特徴です。
これは、ヒトが生物種として安定していないことを示してます。
生物種として安定していれば、種ごとの世界と安定した関わりを持てるのに、そのような確かなつながりが得られないから、言語によって人為的に世界を構築しているのです。
ヒトとされた人工的世界にのみ何とか安住することができる、ということです。
ただし、この文化的な人工世界が、ヒトという生き物全体として、自然物的な現実から離れていることを強調するか、それとも同じヒトという種でありながら、個々の文化、個々の社会が異なっている点を強調するべきかでは、見方が別れます。
言語が人間の在り方を規定するという考えのなかでも、それぞれの言語による違いを強調する考えもあります。
ソシュールの考えでは、個々の言語による違い以上に、言語が世界を作っているという事実の不思議さに注目したものでした。
私たちは普段、現実の「もの」に人間が名前をつけただけだと考えています。たとえば「イヌ」と呼ばなくても、犬は犬と思ってます。しかしソシュールは、自然の一部を「イヌ」というかたちに区切ってひとつの「もの」にしたのが、そもそも言語であることに注目しました。
言語こそが世界を形作っている。
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